研修会社のDXは「より研修が売れる仕組み」を作ること

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研修会社におけるDXとは何か?

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が社会全体で注目される中、研修業界においてもその波は例外ではありません。DXとは「IT導入」ではなく、重要なのは「事業の本質を見直し、テクノロジーを活用して新たな価値を創造すること」です。ということは、研修会社にとってのDXとは、事業の中心である研修という「コンテンツ資産」を本質的にとらえなおし、より売れる仕組みに変えていくことに他なりません。

そのための中心的なアプローチとして改めて注目されているのが「研修のeラーニング化」、すなわち動画をはじめとしたオンライン教材として研修を再設計し、24時間365日購入・受講可能な形で提供することです。これは「研修の手段の変化」にとどまりません。「研修の売り方」「収益の作り方」そのものを進化させ、企業の業績に直結させる戦略です。

講師の制約から解き放たれる

これまでの集合研修は、講師の稼働に依存し、時間や場所に縛られるビジネスでした。人気講師ほどスケジュールの調整が難しく、研修機会が制限されることも少なくありません。研修の受講者は、物理的・時間的にその場所に行ける人でないと参加できず、コロナ禍以降の多様な働き方の中では機会を損失しているケースが増えてきました。

研修企業として持っている資産である研修コンテンツを動画学習用の講座としてeラーニング化すれば、一度収録した講義を何度でも使い回すことができ、講師の時間に依存せずにサービスを提供できます。これにより、講師のスキルをスケーラブルな「資産」として活用でき、稼働に頼らないビジネスモデルへと進化させることができます。

eラーニング化は受講者側にとっても大きなメリットがあり、企業研修の現場でも、集合研修とeラーニングのハイブリッド型へのニーズが高まっています。eラーニングがあれば、多忙なビジネスパーソン、地方在住者、時短勤務者、育児中の人など、従来の集合研修に参加しにくかった層も、自分の都合に合わせて学習できるようになります。これは研修の機会損失を大きく減らし、より多くの人に価値を届けることに直結します。

受講者一人ひとりのスキルや経験のレベルに合わせた研修を提供する

eラーニングの最大の利点のひとつは、受講者ごとのスキルや経験の違いに合わせて、最適な研修を届けられる点です。従来の集合研修では、すべての受講者に同一の内容を一律に提供することが一般的でしたが、eラーニングであれば「100人に100通りの研修」を提供することが可能になります。これにより、一人ひとりの習熟度や理解スピードに応じた、いわゆるアダプティブラーニング(適応型学習)を実現できるのです。

さらに、生成AIの進化により、各受講者の理解状況や関心に応じて、リアルタイムに個別最適化されたコンテンツを自動生成することも夢ではありません。たとえば、ある受講者には基礎からじっくり学べる講座を、別の受講者には実践的なケーススタディを中心とした講座を提示するなど、コンテンツが自動的に分岐していく仕組みも構築できるようになります。これは、まさに従来の研修では不可能だった「個別最適な学び」を、大規模に、かつ効率的に実現する新しい形です。

24時間、365日売れる仕組みをつくる

集合研修は基本的に「一回ごとの販売」=フロー型ビジネスです。しかし動画学習コンテンツとしてeラーニング化された研修は、「いつでも、誰でも」購入できる形にすることで、売上の発生タイミングを「常時化」できます。これは、いわばストック型ビジネスへの転換であり、売上を積み重ねていける構造です。

受講者はいつでもどこでも講座一覧に接触し、選び、決済して学ぶことができます。スキマ時間にスマートフォンで学習し、その後家に帰ってからもう一度学びなおすということもできるようになりました。いま、受講者は「学びたいときに、学びたいことを、自分にあったやり方で学ぶ」ことが当たり前になりつつあります。このニーズに応えるには、デジタル化していつでも受けられる仕組みを構築するDXが欠かせません。

特に、eラーニング講座を自社ブランドのショップとして展開すれば、ブランド価値を維持したまま販売が可能です。受講者が夜間や週末に検索して購入することを想定して、BtoC的なロングテール収益を少ない工数で見込めます。対面営業に加えて新しい販売チャネルができることは研修会社のDXで実現できることの一つです。

たとえば「Qualif(クオリフ)」のような学習講座販売プラットフォームを使えば、自社専用の講座ショップを簡単に構築でき、学習履歴の可視化、決済、動画視聴、テスト、修了証発行まで一気通貫で管理できます。これにより、eラーニング事業の運営が無理なくスタート可能です。

学習データを蓄積し、あらたな収益源の種にする

研修会社がeラーニング化を進めるもうひとつの大きな意義は、「学習データ」が蓄積されることです。たとえば、どの講座が何回再生されたか、動画のどの部分が何回繰り返して視聴されたか、どれくらいの時間がかかったか、いつ学んでいたか、テスト1問に何秒で解答したのか、どのテスト問題で誤答が多かったかといった情報は、従来の集合研修では集めにくかった貴重なインサイトです。

このデータを活用すれば、

  • 研修内容の改善
  • 個々の学習傾向に合わせた提案
  • 法人顧客への人材育成コンサルティング

といった新たなサービス展開が可能になります。たとえばテストで間違いが多いところは、より細かくフォローができるような研修コンテンツとするといった、「データドリブンな研修」が実現でき、講座単体の販売以上に価値あるサービスへと進化させられる可能性が生まれます。特に企業研修の現場では、データに基づいたインサイトをもとにした費用対効果や成長度合いの説明などは強く求められています。

また、受講者にとっても、自分の成長や進捗が可視化されることでモチベーションが向上し、結果としてリピート率の向上にもつながります。学習状況のデータから次のコンテンツをレコメンドすることで、継続的な学習を促すことも可能です。

DXがもたらすのは、研修会社の経営安定化と可能性の拡張

DXを通じて、研修会社は単なる「研修実施業者」から、「研修コンテンツプロバイダー」や「人材育成プロデューサー」へと転身できる可能性が生まれます。これは売上構造の変化であると同時に、事業継続性の担保でもあります。

  • 講師の稼働に依存しない
  • 案件ごとの営業に追われない
  • 地理的な制約に縛られない
  • 学習履歴に基づいた高付加価値提案ができる

これらはすべて、研修事業を「労働集約型」から「知識資産活用型」に転換する力を持っています。

また、市場自体も拡大傾向にあります。矢野経済研究所によれば、国内の企業向けeラーニング市場は、2019年の684億円から2023年には1,123億円超へと成長しています。この波に乗るか乗らないかは、まさに経営判断です。

変化の時代に、「仕組み」を整える研修会社のDXを

研修会社のDXは、「ITを導入すること」ではなく、「より研修が売れる仕組みを整えること」です。それは、これまで優れた講師やノウハウを「目の前の受講者」だけに届けていた状態から、「より広い市場」に届けていくための変革です。

研修の価値は変わらずとも、その提供方法は変えられます。そしてその変化が、研修会社としての収益構造を安定させ、未来への可能性を広げることに繋がります。

研修会社が本当の意味で「売れる仕組み」を持つためのDX――。eラーニング配信プラットフォーム「クオリフ」を提供するクオークが、事業変革の企画から支援します。

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