Grand View Research,Inc.の最新レポートによると、LMS(Learning Management System)学習管理システムの市場規模は2025年からCAGR(年平均成長率)19.9%で拡大し、2030年には708億3000万米ドルに達すると予測されています。

当記事の引用はこちらから↓
学習管理システムの市場規模レポート(2030年)
その背景には、テクノロジーの発展と労働環境の変化が大きく影響しています。特にCOVID-19のパンデミックを契機に、多くの企業や教育機関が従来の対面型学習からオンライン学習へとシフトしました。この動きにより、クラウド型LMSの需要が増加し、今後も成長が続くと予測されています。
本記事ではこのレポートが挙げている成長予測の要因について、【Qualif eラーニングラボ編集部】よりエッセンスをご紹介します。
クラウド型LMSの進化~アダプティブターニングへ
LMS(学習管理システム)は、ビデオ、シミュレーション、インタラクティブ要素など、多様な形式で教材を提供できるため、学習がより魅力的になります。これにより、受講者の理解や記憶の定着を助け、積極的な参加を促進します。
LMSの進化において、AI(人工知能)とビッグデータの活用は不可欠な要素となっています。特にAIを活用することで、学習者の受講履歴データをリアルタイムで分析し、一人ひとりの学習進捗や理解度に応じた個別最適化された学習プランを提供する、いわゆるアダプティブラーニングを実現することが可能です。これにより、学習者の理解度が向上し、学習効果の最大化が期待されています。また、学習の履歴や成績を基にした自動フィードバック機能も強化され、継続的なスキル向上をサポートします。
LMSの進化には最新技術が不可欠です。特に、3D画像や専門家とのライブ対話を活用した教育が、医療・臨床分野で成果を上げています。たとえば、KlickDataは、ChatGPTのビジネス向けバージョンのAIチャットボットを導入し、学習者のサポートを強化しています。
AI、ビッグデータ、VR/ARなどの最新技術を活用することで、学習体験はさらに進化し続けています。
今後も、LMS業界ではアジャイルな学習環境の提供が重要視され、より多くの人々が効率的に学べる包括的なソリューションの提供が進んでいくでしょう。
LMS市場の成長動向と企業規模別の動向
2024年、LMS市場では「ソリューション(システムそのもの)」のセグメントが業界をリードし、全体の67%以上の収益を占めています。LMSは、以下のような多機能を備えており、企業や教育機関のニーズに応えています。
- コンテンツ管理・評価ツールの提供
- 学習データの分析機能
- チャットや掲示板などのコミュニケーション機能
- 他のソフトウェア(人事システムなど)との連携
さらに、LMSのカスタマイズ性・スケーラビリティ(拡張性)・費用対効果が市場の成長を後押ししています。AIと機械学習の進化により、よりパーソナライズされた学習体験が可能になり、受講者の定着率の向上にも貢献しています。このような仕組みには、従来型のLMSではなく、クラウド型のLMSが前提であることはいうまでもありません。
LMS関連サービスの拡大
今後は、LMSの導入支援や技術サポートなどの「サービス分野」が大きく成長すると予測されています。企業や教育機関がLMSをスムーズに活用できるよう、実装・コンサルティング・運用サポートなどのサービスが求められています。
特に、Integration-as-a-Serviceというサービスにより、システムの導入時間や手間を削減できる仕組みが注目されています。
企業規模別のLMS活用動向
大企業は、膨大なトレーニングニーズやコンプライアンス等の研修のため、LMSへの投資が活発です。特に、人事システムとの連携(既存の社内システムと連携)やカスタマイズ機能(企業独自の研修要件に対応)の分野が対象となっています。
また、中小企業では、クラウド型LMSの普及により、手軽にeラーニングを導入できる環境が整ってきました。リモートワークの普及に伴い、柔軟に学習できるLMSのニーズが高まっています。政府の助成金を使いながら、eラーニングをスモールスタートではじめる企業も増えてきました。
2025年の市場動向については「2025年に向けた企業向けeラーニング市場の動向」もご覧ください。
クラウド型LMSの導入が急拡大:その理由とは?
2024年、クラウド型のLMSが市場の主流となりました。クラウド型LMSなら、インターネット環境があれば世界中どこでも利用可能です。リモートワークやオンライン学習の普及に対応でき、グローバルなコラボレーションも可能です。
クラウド型LMSは、利用者の増加に合わせて柔軟に拡張可能で、サーバーの増設などの手間なしで運用可能です。また、初期投資が不要で、メンテナンスコストも抑えられる点も大きなメリットです。
世界のLMS市場動向 – 地域別の特徴
アメリカのLMS市場 : 成長の主な要因は、下記のとおりです。
- 高等教育のデジタル化
大学・カレッジ・オンライン機関でのLMS採用が拡大。 - 企業でのLMS活用
ヘルスケア、金融、製造業などで、必須トレーニングやコンプライアンス管理にLMSが活用されている。 - 政府の支援
CARES法などのデジタル教育支援策が、K-12(幼稚園から高校卒業までの13年間)の学校や大学のLMS導入を後押ししている。 - オンライン学習プラットフォームの影響
Coursera, IncやUdemyのようなサービスの普及により、LMS需要が加速。
ヨーロッパのLMS市場:成長の主な要因は、下記のとおりです。
- EUのデジタル教育行動計画
教育機関でのLMS導入が増加し、デジタルコンピテンシーの強化が進む。 - 労働力のスキルアップにLMSが活用
政府・教育機関が、再教育やトレーニングのためのオンライン学習を強化。 - 柔軟な学習環境への需要
労働者向けのアクセスしやすいトレーニングソリューションとしてLMSの重要性が高まる。
アジア太平洋地域:成長の主な要因は、下記のとおりです。
- インターネットとモバイルの普及
スマホやモバイル機器の普及で、オンライン教育が急拡大。 - 政府のeラーニング推進策
インド・中国・東南アジアなどで、国家主導のデジタル教育プロジェクトが進行。 - 企業研修の需要拡大
急成長する労働市場に対応するため、企業のLMS導入が加速。
オンライン講座販売LMS「Qualif(クオリフ)」の強みと未来
eラーニングが日本で一般的になり始めてから約25年経ち、eラーニングやLMSは“枯れた“市場だとよく言われます。実際、日本のeラーニング市場規模の推移をみても、2011年~2019年までの法人向け市場成長率は22.1%ほどで、ほぼ成長していなかったと言っても過言ではありませんでした。
その間に、何度かブレイクスルーにつながりそうなトピックもあったのですが、結局コロナ禍という外圧が起きるまで、市場の停滞は続きました。停滞の理由には、企業側の事情もありそうです。
「リスキリングへの対応は? ~積極的な企業は26.1% 帝国データバンク全国調査」(https://qualif.jp/lab/reskillingsurvey/)
グローバル全体で見るとeラーニングやLMSは非常に堅実に成長を続けています。クラウドやAIなどの新しい技術を取り入れた新しいサービスが次々と生まれてきています。
弊社で新しいeラーニングプラットフォーム「Qualif(クオリフ)」の開発を進めているのは、日本でだけeラーニングの進化が止まってしまっているという現状を打破したいと考えているからです。
20年以上にわたってeラーニングに取り組んできたクオークのメンバーの知見を活かして、以下のような特徴を持つLMSを開発しています。
- 学習の成果が出る
- 社員の学習を「管理」するという発想の逆を行く
- 誰もが先生であり、誰もが生徒である
eラーニングはこの四半世紀である程度の普及を果たしましたが、この先もユーザーを獲得し利用し続けてもらうには、eラーニング自体が進化していく必要があります。開発努力を怠るLMSベンダーやコンテンツベンダーは、やがて確実に淘汰されていくでしょう。開発の進捗などは随時公開していきます。どうぞご期待ください。
料金のお問い合わせ – QUALIF(クオリフ) | オンライン学習講座販売プラットフォーム
