第7回:低コストで高品質な動画教材を実現|生成AI活用の動画制作ノウハウ

はじめに:動画教材の重要性と制作の課題

近年、オンライン教育やeラーニング市場の急速な拡大に伴い、動画教材の需要が大きく高まっています。従来の紙媒体やスライドを用いた教材に比べ、動画は視覚と聴覚を効果的に刺激し、学習者の興味を引きつけ、学習定着度を高める効果が知られています。

しかし、多くの企業や教育機関では「動画制作はコストが高く時間もかかる」「品質にバラつきが出る」「専門的な制作技術や設備が必要」といった課題に直面しています。特に、講師が出演して直接話すスタイルの動画教材では、撮影場所や編集費用、人件費がかさみ、頻繁にコンテンツを更新することが難しくなりがちです。

エデュニアでは、こうした課題を生成AIを活用することで根本から解決しています。本記事では、AIを駆使して低コストかつ高品質な動画教材を実現する具体的な方法を解説し、その実践的なノウハウを紹介します。(執筆者:エデュニア株式会社 代表取締役 千葉佑介)

本シリーズの構成
本記事は全10本シリーズの7本目です。ぜひシリーズ全体を通してお読みください。

目次

セクション1:動画教材制作の課題とAIによるソリューション

従来の動画教材制作が抱える課題

従来型の動画制作には以下のような課題が存在します。

  • 高コスト:撮影機材や場所、編集スタッフ、ナレーターの手配など、多くの経費が発生
  • 時間的負担:企画から撮影、編集までに多くの時間が必要で、タイムリーなコンテンツ更新が困難
  • 品質のバラつき:講師のプレゼンテーションスキルや編集者の能力によって品質が左右されやすい
  • 柔軟な対応が困難:一度作成すると修正やアップデートに追加コストがかかり、気軽に変更できない

こうした問題を根本的に解決するのが、生成AIを活用した新しい動画制作手法です。

AI活用がもたらすソリューション

生成AIを活用すると、以下のメリットが得られます。

  • コスト削減:撮影場所やナレーターの手配不要。AIで生成したリアルなアバターと音声で対応可能
  • 制作期間短縮:AIツールにより、企画から完成までの時間を大幅短縮
  • 品質の安定化:AI生成により一貫した品質を担保し、属人的要素を排除
  • 迅速な修正・更新対応:内容変更や追加もAIで迅速に対応可能

エデュニアでは実際に以下のツールを駆使し、動画制作を飛躍的に効率化しています。

次のセクションではこれらのツールの具体的な実践テクニックをご紹介します。

セクション2:D-ID、Voicepeak、Voice Presenterの実践テクニック

①アバター生成(D-ID)で「講師不要」のリアル動画を実現

「D-ID」は、高精度なアバター動画を作成できる生成AIです。人間の写真を元にリアルな口の動きや表情を生成できるため、実際の講師が出演しなくても、視聴者に対して「人が話している」と感じさせる自然な動画が作成可能です。

具体的な手順:

  1. 講師役となる写真(正面写真)を用意
  2. D-IDに写真をアップロードし、ナレーション原稿の音声ファイルを読み込ませる
  3. 生成されたアバター動画を取得し、スライドと組み合わせる

これにより、講師の拘束時間や撮影コストを大幅に削減しつつ、魅力的な動画を制作できます。

②音声生成(Voicepeak)でプロ級のナレーションを低コストで実現

「Voicepeak」は、日本語のイントネーションや発音精度が高く、細かな調整が可能な高性能音声生成AIです。

具体的な手順:

  1. ChatGPTなどで作成したナレーション原稿を用意
  2. Voicepeakで原稿を読み込ませ、イントネーションやアクセントを微調整
  3. 出力された自然な音声ファイルを動画に組み合わせる

特にVoicepeakは、従来の人工的な機械音声と違い、視聴者にとって違和感のない、自然なナレーションを提供可能です。

③スライド動画生成(Voice Presenter)で迅速に動画教材を完成

「Voice Presenter」は、スライド資料と音声を自動で同期させて動画教材を作成するAIツールです。

具体的な手順:

  1. 教材用スライド(GammaやPowerPointで作成)を準備
  2. Voicepeakで生成した音声ナレーションを準備
  3. Voice Presenterでスライドと音声を読み込み、同期を自動化
  4. 最終的な動画ファイルを生成し完成

この方法で、専門的な動画編集スキルがなくても高品質で学習効果の高い動画教材を短時間で作成できます。

セクション3:AI動画制作の実際の導入事例紹介

エデュニアでは、このAIを活用した動画制作手法を様々なクライアントで導入し、実績を積んできました。ここでは実際の導入事例を一部ご紹介します。

事例①:大手製造業向けマネジメント研修動画

従来、動画制作には数百万円の予算と数か月の期間がかかっていましたが、D-IDとVoicepeakの活用により、予算を従来比約70%削減し、2週間で全教材を完成。企業側の満足度も高く、継続的な発注に繋がっています。

事例②:eラーニングプラットフォームUdemy教材制作

短期間で大量の教材作成が求められた案件で、Gamma、Voicepeak、Voice Presenterを連携させ、通常6か月程度かかる作業を約2ヶ月に短縮。内容修正も即時対応可能となり、最新情報を常に提供できる仕組みを構築しました。

事例③:自社PV制作

これは今回の記事とは違った方法で作成したものですが、こんな事も出来ますよという一例としてご紹介いたします。ChatGPTを運営しているOpenAIの動画生成AIであるSoraを用いて動画を生成し、Canvaと呼ばれるデザインAIツールで構成を組み、テロップを入れたのがこちらです。音声は前述のVoice peakで生成しています。動画スキルゼロの私が1人で作成しましたが、そこそこのものに仕上がっていると思います。ご興味がある方がおられればこのような動画制作についてもどこかでご紹介したいと思います。

これらの事例からも、AI技術を適切に活用することで、教材制作にかかる時間やコストを大幅に改善しつつ、高品質な動画コンテンツを安定して供給できることが実証されています。

おわりに:動画教材制作をAIで革新する

AIを活用した動画制作は、従来型の課題を解決し、誰もが低コストで高品質な教材を提供できる可能性を開きます。エデュニアはお客様の教材制作プロジェクトをAIで支援し、動画コンテンツ制作のハードルを劇的に下げることを目指しています。

動画教材制作でお悩みの企業や教育機関の皆様、ぜひお気軽にエデュニアまでご相談ください。下記のリンク先からクオークさん宛にお問い合わせをいただけましたらお返事を差し上げます。

一緒に未来の教育コンテンツを創造しましょう。

~eラーニングビジネス新規立ち上げのご相談が急増中~

★お気軽にお問い合わせください★

著者プロフィール

千葉 佑介(ちば ゆうすけ)

エデュニア株式会社代表取締役、H&Sホールディングス株式会社最高執行責任者(「ぼくのAIアカデミー事業担当」)を勤める傍ら、岩手県立大学ソフトウェア情報学研究科博士後期課程で製造業における教育サービスのDX関連の研究に従事。

熊本大学人文社会科学研究科教授システム学専攻博士後期課程卒。富士通株式会社で大学ビジネス営業企画と事業企画に携わった後、DMG森精機と野村総合研究所の合弁組織であるテクニウム株式会社にてDX教育サービスを立上げ、経済産業省補助事業「デジタルものづくり実践講座」のプロジェクトディレクターを務めた。

その後、AIリテラシーや生成AI活用に関する講座やワークショップを多数実施すると共に、生成AIと教育工学を駆使した教材制作および教育事業のDXコンサルティングに奔走中。

Qualif メールマガジン登録フォーム

eラーニング

この記事を書いた人

eラーニング関連ニュースなどを中心に、皆さまのお役に立つ情報をお届けします。

目次