研修ビジネスにおけるフロービジネスとストックビジネス

~収益の安定化をめざすためには


企業向けの研修会社の多くは、繁閑の差が大きく、特定の時期に売上げが集中する傾向があります。その原因の一つとして、研修講師が対面で行う集合研修ビジネス、言い換えるとフロービジネスに依存していることが挙げられます。「研修ビジネスの繁閑の差を小さくして収益を安定させたい、事業を成長させたい」を考えておられる方に、研修会社におけるフロービジネスとストックビジネスの違いやメリット・デメリットを解説します。自社の研修ビジネスの未来を考える際のご参考になれば幸いです。

目次

研修ビジネスの課題 ~収益が不安定な理由とは

「毎年春の新入社員研修の繁忙期には売上が大きく伸び、年間売上高の半分以上が計上される。秋以降の閑散期には、売上は減少しコストがかさみ収益が低下する...」

こういった悩みを多くの研修会社の方からお聞きします。

たとえば、新入社員研修の大半は、対面型やオンライン研修で実施されていて、いわゆるフロービジネスです。これは、単発型収益モデルで、一時的な収益は大きいものの、経営安定性には欠けます。つまり集合研修でもオンライン研修だとしても、講師が登壇しないと成立しないビジネスです。また、講師登壇1回あたりの単価は高く、登壇して研修した内容は、その場で流れていって消えてしまいます。

そのような中で、昨今の人手不足は研修業界にも影響を及ぼしています。

研修の引き合いは増えているにも関わらず、対応できる講師が見つからずに案件を逃すケースが出てきています。一方で急遽集めてきた講師では、研修の質が伴わなくてお客様を満足させることができず、継続案件のチャンスを逃すリスクもあります。

また、「競合他社との価格競争が激化していて、利益率が下がり続けている……」といった状況に陥っている企業も多いのではないでしょうか。

フロービジネスとストックビジネスの違い ~メリット・デメリットとは

ここでは、集合研修やZoomなどを使ったオンライン研修を含めて、フロービジネスと位置付けます。講師が登壇しないとビジネスになっていかないのがフロービジネスで、単発の取引ごとに収益が発生するビジネスモデルです。

フロービジネスのメリット・デメリット

フロービジネスは、「即座に収益が発生するため、キャッシュフローが改善しやすい」「柔軟に新しい研修サービスを提供できる」などのメリットがあります。

一方で、「売上が短期的に集中するため、安定的な収益を確保しづらい」「顧客との関係性が短期的になりやすく、常に新しい顧客を獲得する必要がある」などのデメリットがあります。

ストックビジネスのメリット・デメリット

ストックビジネスは、継続的な契約による利用料によって収益が発生するビジネスモデルです。たとえば、e-learningでコンテンツを配信するものをさしています。コンテンツ1本あたりの受講料は安いのですが、講師の稼働がなくても売り上げが計上できます。一旦コンテンツを作り売り始めれば、寝ている間でもチャリンチャリンと儲かっていきます。

eラーニングのコンテンツ配信は、「時間と場所に縛られずに受講でき、受講者の利便性アップ」「講師依存型から脱却できコスト削減ができる」など多くのメリットがあります。一方で、デメリットは、「コンテンツ作成などの初期投資が大きくなる場合がある」「顧客の継続利用を確保するための工夫が必要」などあげられます。

フロービジネスとストックビジネスの2つをうまく組み合わせことで、研修ビジネスをさらに安定、成長させ、貴社のビジネス拡大を目指しましょう。

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