「オンライン講座販売用LMSに必要な決済機能を解説」~決済方法別の特徴・購入の流れ~

コロナ禍以降、拡大を続けているeラーニング市場では、現在多くの企業や教育機関がオンライン学習講座を外販する新規ビジネスを立ち上げて事業化しようと乗り出しています。eラーニング講座を社外に対して販売する際に重要なのが、自社のビジネスモデルに合った適切なLMS(Learning Management System:学習管理システム)を選択し利用することです。社内研修で利用することを想定して作られた一般的なLMSでは、講座購入の決済を行う機能がなかったり、講座の売上を管理することができないなど、講座販売ビジネスで使うには力不足な部分があります。

特に、講座を購入するための決済機能がなければ、そもそも講座外販ビジネスを行うことはできませんし、決済機能の使い勝手が悪ければ顧客を逃すことにもなりかねません。本記事では、eラーニング教材の外販ビジネスを成功させるために、受講者のコース購入の流れや決済方法の特徴、LMS選定時の重要なポイントを詳しく解説します。

「eラーニング教材を販売するためのLMSとは」について、詳しくはこちら!

「eラーニング教材を販売するためのLMSとは」~ 学習講座・学習コンテンツ販売・決済がキモ~

本記事では、コンテンツ販売や決済を踏まえた、クラウド型eラーニング教材販売用LMSの機能やメリットについて解説します。

目次

「オンライン講座販売用LMS」を利用した場合のコース購入の流れ

まずeラーニング講座を購入する流れを見てみましょう。「オンライン講座販売用LMS」を利用すると、受講者は以下の流れで講座を購入し、受講を開始できます。

コース概要の確認

受講者はLMSのコース一覧ページで、提供されているオンライン講座の概要を確認します。「オンライン講座販売用LMS」では、購入前の未ログインの状態でもコースの概要を確認できるため関心をひきやすくなります。確認したいコースをクリックすると、「コースタイトル」「対象者」「学習目的」「講師情報」「価格」「受講可能期間」などが表示されます。

購入手続きの開始

購入者(受講者)は希望する講座の「購入」ボタンをクリックすると、決済手続きが開始されます。ログインしていない場合は、「LMSへのログイン」または「新規アカウント作成」が求められます。アカウントを持っている場合は、ログインすると、ショッピングカート画面に移動します。

アカウントをもっていない場合は、「新規アカウント作成」をクリックして氏名やメールアドレスなど情報を入力して会員登録をします。その後は、「LMSへのログイン」をします。

ショッピングカートの確認

受講者が複数のコースを選び、一度の手続きで一括購入できる機能で、利便性が向上します。ショッピングカートには、選択したコースが追加され、コースの詳細や合計金額を確認できます。また、コースによっては、割引やキャンペーンが適用されるケースもあります。

決済方法の選択と情報入力

決済ページでは、利用可能な決済方法が複数表示され、受講者は「クレジットカード決済」「銀行振込」「コンビニ決済」「キャリア決済」などの決済方法から選択します。たとえば、クレジットカード決済を選択した場合は、カード番号や有効期限、セキュリティコードなどの情報を入力します。

決済の完了とメール受信

支払いが完了すると、LMS側で決済の確認が行われ、受講が可能になります。クレジットカード決済などはウェブ上で決済が完了し、即座に受講が開始できます。一方、コンビニ決済などは決済までに時間がかかり、支払い完了が確認されてから受講開始となります。

決済完了後、受講者には支払い完了のメールが送信され、受講方法やログイン情報を確認できます。

受講の開始

受講者はログイン後、マイページにアクセスし、購入した講座を受講します。動画視聴やテキスト教材のダウンロードなどが可能となります。

「オンライン講座販売用LMS」に決済フローが搭載されていれば、受講者はストレスなく学習を開始でき、サービス提供側も売上管理などの効率化が可能となります。

決済方法別の特徴

即時決済

即時決済は、支払い手続きがインターネット上で完結するタイプの決済方法で、手続きが完了した瞬間に決済が完了となり、オンライン学習講座の受講が可能となります。

クレジットカード決済(VISA、Mastercard、JCB など)

インターネットを利用したモノやサービスの購入において最も多く利用されている決済手段です。一昔前はインターネット経由でクレジットカード番号を送るのは怖い、という声もありましたが、現在ではセキュリティも向上し、多くのオンラインサービスで一般的に使われています。クレジットカードの情報(カード番号、有効期限、セキュリティコードなど)を入力するだけで決済が完了します。決済手数料は通常2〜5%程度です。

携帯キャリア決済(ドコモ、au、ソフトバンクなど)

スマートフォンのキャリア(通信会社)の請求と一緒に料金が請求される決済方法です。クレジットカードを持っていないユーザでも利用しやすいのがメリットですが、手数料が高く、10%以上かかることが一般的なため、サービス提供者側の利益が減少してしまうデメリットがあります。

銀行振込(オンライン)

インターネットバンキングを利用して即時に振込ができる決済方法で、手数料は銀行によって異なり、利用者側が負担する場合もあります。

ペイジー(Pay-easy)

ネットショッピングの代金や税金などの支払いを、金融機関の窓口やコンビニのレジに並ぶことなくパソコンやスマートフォン・ATMから支払うことができるサービスです。

24時間対応可能な即時決済サービスで、銀行のインターネットバンキング、 ATM、モバイルバンキングを通じて簡単に支払い可能です。手数料は銀行によって異なりますが、比較的低コストです。

PayPal

あらかじめPayPalアカウントを作成しておき、そのアカウント情報を使って支払うもので、講座購入の際に改めてクレジットカード情報を入力せずに決済できるサービスです。PayPal自体の支払いは、クレジットカード支払いや銀行口座振り込み等から選択できます。

外資系のLMSを使ってeラーニング講座の外販を行う場合は、決済方法としてこのPayPalしか選択できないことがあります。日本ではそこまで普及しているとは言えないサービスのため、ユーザの利便性は少し落ちると言えます。

Amazon Pay、楽天Pay、Google Pay、Apple Payなど

すでに登録済みのAmazonや楽天等のアカウント情報を使って支払うもので、Amazonや楽天等で買い物をしたものと一緒に月末にまとめて請求されます。クレジットカード情報等はAmazonや楽天に登録されているものを使うため、講座購入の際に改めてカード番号等を入力せずに決済ができ、簡単に支払いが可能で利便性が高いといえます。

ECサイトでの導入は増えてきましたが、eラーニング講座の販売・購入で利用できるケースはまだ少ないようです。

時間差決済・後払い決済

時間差決済は、支払いが完了してから受講が可能になる決済方法です。後払い決済は、支払いが行われる前に受講が可能になる決済方法です。

コンビニ決済

指定されたコンビニ(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなど)で支払いを行う決済方法です。eラーニング講座の購入者・受講者はオンラインで発行された支払い番号を使って、コンビニの端末やレジで現金または電子マネーで支払いを行います。近くのコンビニの店舗で24時間いつでも決済が可能です。

支払いが完了し、LMSの管理者側で確認が取れた後に、講座の受講が可能になるため、eラーニングを受講したいと思って購入ボタンをクリックしてから、実際に受講できるようになるまでの間に数日程度の時間が空いてしまうこともあり、その間に受講のモチベーションが下がってしまう可能性があります。最悪の場合は、結局お金が支払われずに受講がキャンセルになってしまうことが起こり得ます。

ただ、クレジットカード情報や携帯電話情報などを使ってインターネット上で決済をしたくないというユーザがいた場合、もっとも確実かつ便利に決済をしてもらえるのが、このコンビニ決済ということになります。そのため、決済方法の選択肢の1つとして、提供しておく価値は十分にあると考えられます。

銀行振込(ATM)

銀行のATMを利用して、指定口座へ手動で振込を行う方法です。振込後にサービス提供者側が入金を確認し、受講が可能になります。受講者が振込時に振込名義や金額を正しく入力しないなどミスがあると、確認に時間がかかることがあります。

最近はコンビニの方が店舗も多く、24時間いつでも決済ができるため、あえてこのATMでの銀行振込という決済方法を用意する必要性は薄れてきていると言えます。

請求書払い

主に法人向けの決済方法で、企業や団体が一括して購入する際に利用されます。サービス提供側が請求書を発行し、指定された期日までに銀行振込で支払うという、後払い決済の1つです。

法人間の取引では、支払いは月末で締めて翌月末行う、つまり、最長2ヶ月後に支払われることになるケースが多いため、支払いが完了するまで受講開始を待つことはせずに、支払ってもらえることを信じて先に受講の開始を許可します。

万一、期日に支払いがされなかった場合は、LMSの管理画面からeラーニングの受講を停止するように設定します。

サブスクリプション型とワンタイム決済型の違い

サブスクリプション

サブスクリプションとは、受講者が毎月または毎年など一定の料金を支払うことで、契約期間中は講座を継続的に受講できる仕組みです。たとえば、月額2,000円のeラーニングに加入すると、その契約期間中は受け放題で講座を視聴できます。

このモデルの最大のメリットは、サービス提供者にとって定期的な収益を確保しやすいことです。受講者が継続的に支払いを行うため、毎月の売上が予測しやすく、事業の安定につながります。また、一度獲得した受講者が長期間サービスを利用すれば、新規顧客の獲得にあまり依存せずに売上を堅持できる点も魅力です。

ワンタイム決済型

ワンタイム決済型とは、受講者が特定の講座を一度だけ支払いを行って購入する仕組みです。たとえば、「Python入門講座」を5,000円で購入すると、一定期間(例えば90日間)受講ができるというものです。

このモデルは、特定のスキルや知識をピンポイントで学びたい受講者に適しています。例えば、「就職活動のためにExcelのスキルを強化したい」といった目的を持つ受講者にとって、ワンタイムで必要なコースだけ購入できるのはメリットです。

また、サービス提供者にとっては、単価の高い講座を販売しやすいという利点があります。たとえば、資格試験対策講座など、価値の高いコンテンツであれば、1コース数万円~10万円以上で販売されるものもあります。

一方で、新規顧客を継続的に獲得する必要があるため、営業活動を継続しないと売上が安定しにくい側面もあります。

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LMS選定・販売サービス開始の際の注意点

eラーニングコンテンツの外販事業を行うサービス提供者は、サービス開始当初から様々な決済方法を用意しておくのか、最初は最小限の決済方法だけ用意して、後追いで増やしていくのかを、十分な検討する必要があります。

ターゲットユーザーに応じた決済手段を用意することで、離脱を防ぎ、コンバージョン率を向上させることができます。一方で対応する決済方法が多くなればなるほど、システム利用時の基本料金が高くなることも注意点です。

売上データの可視化と自動請求・督促機能

サービス提供者にとってオンライン講座販売の成功には、売上データの可視化が欠かせません。どのプランや講座が売れているのか、どの決済手段が利用されているのかをリアルタイムで把握できるLMSなら、マーケティング施策の改善にも役立ちます。

たとえば、LMSの管理画面のダッシュボードで「A講座は1ヶ月で100件売れた」「クレジットカード決済が80%、PayPalが15%、銀行振込が5%」といったデータを確認し、より魅力的な価格設定や有効なマーケティング戦略を立てることが重要です。

また、「サブスクリプション」を導入する場合、自動請求・督促機能も大事な機能です。たとえば、未払いが発生した際に、自動リマインドを送ったり、再請求を行ったりする機能が備わっていれば、収益の安定化につながります。

ユーザーエクスペリエンス(UX)の品質

ユーザーエクスペリエンス(UX)とは、ユーザーが製品やサービスを利用する際に感じる使いやすさ、快適さ、満足度のことを指します。

決済フローのUXの品質が悪いと、受講者が途中で離脱してしまう原因になります。

たとえば、「決済ページで入力すべき項目が多すぎる」や「スマホで操作すると文字が小さく、ボタンが押しづらい」などが挙げられます。

購入者(受講者)がストレスを感じずに設計されていることが、UXの品質を決める重要なポイントです。特に、オンライン講座販売では「購入のしやすさ」「決済のスムーズさ」「スマホ対応」などがUXの品質向上のカギとなります。

決済方法を増やすことによる負担増

決済方法が多様であればあるほど、購入する受講者の選択肢は増えて便利になりますが、サービス提供者側にはその分負担が増える点には注意が必要です。

まず、決済方法を増やすためには、それぞれの提供事業者の審査を通過する必要があります。一般的にコンビニ決済やキャリア決済の審査には約1ヶ月、クレジットカードの審査には1~2ヶ月かかります。コンビニエンスストアではS社、クレジットカードではJ社の審査に時間が掛かると言われています。

また、決済方法ごとに決済手数料とは別に月額の基本料が必要となることがあります。月額1万円前後が一般的で、クレジットカード決済とコンビニ決済とキャリア決済を利用すると、毎月3万円の基本料が必要となります。

決済手数料にもかなり幅があります。特にキャリア決済は手数料が高く、商品の単価の10%以上を取られるため、サービス利用者の利益を圧迫する原因ともなりかねません。

LMSを選定するときの注意点をまとめますと、以下の点に特に注意が必要です。

  • 決済手段の審査期間を考慮する(通常クレジットカード決済は最大2ヶ月)
  • コンビニ決済はチェーンごとに審査期間が異なる
  • 決済手段が増えると基本料金が高くなる
  • 各決済手段の手数料を比較し、収益性を確保すること
  • サブスクリプションとワンタイム決済型の両方に対応している
  • 売上データの可視化や自動請求・督促機能を活用する
  • 決済フローのUXの品質が悪いと、受講者が途中で離脱の原因となる

オンライン講座販売を成功させるには、適切な決済機能を備えたLMSの導入が不可欠です。決済手段の選定には、手数料や審査期間などと受講者の利便性を考慮して、コストバランスを適切に管理することが重要です。受講者にとって使いやすく、サービス提供者にとっても投資対効果の高い「オンライン講座販売用LMS」を導入しましょう。

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