「コワーキングスペース」とは
「コワーキングスペース」という言葉を初めて聞いたのは、5年ほど前だ。「共有の広いスペースで、各々が仕事や勉強をする場所」という説明を聞き、個々の作業をする「個ワーキングスペース」なのか、或いは孤独に机に向かうから「孤ワーキングスペース」なのか、という当て字が頭に浮かんだ。
正確には、「Co(共同の)」と「working(働く)」を組み合わせた造語で、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が共に働くスペースのことをこう呼ぶのだそうだ。ここ数年で、コワーキングスペースの市場規模は世界的に大きな成長を見せているらしい。
コワーキングスペースの需要が伸びている背景としては、まず働き方の多様化が挙げられる。企業に縛られず、フリーランスという働き方を選ぶ人が近年大幅に増加しており、低コストで仕事環境が確保できるコワーキングスペースは、彼らにとって魅力的な空間だ。
また、企業側にとっても、コワーキングスペースをサテライトオフィスとして活用すれば、従来のようなオフィスは不要になり、経費節減につながる。
そして、先のコロナ禍である。リモートワークが推奨され、「オフィスに通勤」という固定観念が否応なく覆された。それをきっかけに、リモートワーク中心の労働形態へと大きく舵を切った企業は少なくないが、そこに、快適な仕事環境を差し出したのが、コワーキングスペース業界だ。
リスキリングや学習の場として「コワーキングスペース」を体験
実際に私が活用したコワーキングスペースは、皇居を見ることができるビルの中のワンフロアにあった。あらかじめ取得していたQRコードを使って入室すると、オフィス仕様の机と椅子が並んでいる。
一人用のデスクもあれば複数のメンバーで囲める作業台もある。それぞれの仕事が互いに影響を及ぼさない配慮で、デスク間の空間は広くとられており、圧迫感はない。机に向かう顔ぶれは、30〜40歳代が中心だ。
入り口近くのカウンターには、様々な業種の業務案内やイベント情報などのフライヤーが並んでいた。奥のドリンクサーバーの前では、小声で名刺交換をする若者の姿もある。なるほど。袖触れ合うも多生の縁だ。通常の業務では全く接点がなかった者同士が、同じコワーキングスペースを使ったという縁で、異業種交流を実現することがあるのだろう。コワーキングスペースには、そんな一面もあるのだと納得する。
一人用のデスクに腰を据えてパソコンを開く。Wi-Fiと電源はもちろん完備されている。
近所の図書館やカフェでもこうした作業は可能ではあるが、図書館は近隣住民の憩いの場であるという面が重視されているので、ざわついた時間帯も多く、仕事に集中するのは難しい。また、我が家の地区の図書館の閲覧席は、早い者勝ちである上に利用時間無制限のため、開館前から並ぶ猛者も多く、席の確保は一苦労だ。
カフェを利用する場合は、飲み物を購入すれば席は取れるけれど、静けさは保証されない。隣席の食べ物やおしゃべりが気になることもあるし、混雑する時間帯にはいくらドリンクを追加購入しても、長く居座るのは憚られる。マルチ商法の勧誘をしている場面に遭遇したことも何度もある。
コワーキングスペースでは、誰もが仕事に取り組んでいる。気持ちの良い緊張感に満たされていて、こちらのモチベーションも上がる。集中力も持続する。
仕事だけでなく学習にも、この環境は有難いだろう。近年では社内研修や資格取得、リスキリングなど、キャリアアップを目指すための知識や技術を、eラーニング教材で身につける学習方法が定着しつつある。少し離れた窓際でヘッドセットを使いながらパソコンの画面をみつめる男性の姿が見られるが、彼はひょっとしたら自主学習の最中なのかもしれない。
腰を伸ばしたくなったら、ドリンクサーバーに向かえばよい。数種類の飲み物の中から自由に選んで飲んでよいと言われると、少し贅沢な気分が味わえる。頑張っている自分を労われているようで、ほっとできる。
約束していた時間に、打ち合わせ相手が到着した。私が利用したコワーキングスペースには、ミーティング用の個室が用意されているので、事前に使用時間を予約しておけば、他の人に迷惑をかけずに会議ができる。個室であれば社外秘の情報を扱う際にも安心だ。
コワーキングスペースは、提供者によって少しずつ違う特徴を持つ。このような会議用の個室が用意されていない場合もあるし、逆に完全に一人用の個室ブースを設置しているコワーキングスペースもある。
郵便や宅配便を受け取れるシステムが用意されていたり、託児所を併設していたりする施設もあるようだ。事業者は周辺環境を考慮しながら、提供するサービスを工夫している。利用者はそれをチェックして、自分が必要とする設備が揃っている施設を選ぶことが必要だ。
「コワーキングスペース」の未来
コワーキングスペースは、時代の流れに乗って広がりを見せている。
先に述べたように、eラーニングに取り組む場としてのコワーキングスペースの需要は着実に伸びており、その活用方法も新たな方向を模索するフェーズに入っているように思う。
例えば夜間や週末にキャリアアップのための講習会を実施すれば、利用者はコワーキングスペースに「情報交換やグループワークの場」としての側面を見出すことができるだろう。オンライン講座+オフライン講座での仲間づくりを組み合わせた「ハイブリッド学習」の拠点として、機能しうるのではないだろうか。
さらに、Qualif(クオリフ) | オンライン学習講座販売プラットフォームのようなLMS(Learning Management System:学習管理システム )とコワーキングスペースとを連動し、e-Learning講座をセットで提供するシステムも考えられる。会員の属性と目標に合わせた適切なコンテンツメニューを、e-Learning提供ベンダーがオンデマンドで作成し、会員特典として提案するのである。様々な利用者の希望に合わせて学習プランを計画することで、ビジネス拡大がはかれるだろう。
個人が快適に過ごせる環境の充実も、置き去りにはできない。
例えば「集中できるデスクと椅子」や「作業効率が上がる音楽」などの研究が進み、取り入れる業者は登場するに違いない。完全個室の中では、VRやAR技術を使って、オンデマンドで「ログハウス風個室」「秘密基地風個室」などといったサービスが提供されるようになる可能性もあるだろう。
時代は変わっていく。人々のニーズに合わせて新しい事業が生まれ、育ち、淘汰されていく。コワーキングスペース産業は今まさに発展途上の段階だ。これからどの方向にどんな風に成長していくのだろうか。興味深く見守りたい。
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