Udemy(ユーデミー)は、2010年に米国で設立された企業により提供されている、学習教材を販売できるオンラインプラットフォームです。世界中の講師や企業が多様な分野のオンライン研修コースを講座販売し、個人や企業が必要な研修コースを購入して受講しています。
「オンライン学習講座販売ビジネス」で利用するプラットフォームとして候補に挙がることも多いUdemy。オンライン講座販売に特化したLMSを使うのか、Udemyを使うのか、その機能や特徴・違いを理解し、自社のビジネス戦略に合ったプラットフォームの比較検討の参考にしてください。
本記事では、Udemyと「学習教材販売機能を持ったLMS(Learning Management System:学習管理システム)」の特徴を比較し、適切な選択をするためのヒントをご紹介します。
(Udemyの情報は2025年1月時点のものです)
Udemyの強み
Udemyには新規ビジネスとしてオンライン学習講座の販売を行いたい企業・個人にとって、ビジネスを簡単に始められる仕組みがあります。主に以下に挙げるような強みがあります。
プラットフォーム「Udemy」としての知名度の高さ
Udemyは、eラーニングコンテンツを販売するプラットフォームとして15年以上の歴史を持っており、非常に有名で、世界中で多くの受講者が利用しています。企業や講師が研修コースを講座販売する際に、既存のユーザ基盤(既存のUdemyユーザー)を購入者として期待できる点が大きな利点です。個人向けに研修コースを販売し、多くの受講者にアプローチしたい場合や、手軽に学習コンテンツを提供したい場合にはとても有用です。販売手数料に対して納得ができれば、オンライン学習講座を探しているユーザーが集まる場所で講座販売できるのがUdemyの最大のメリットでしょう。
研修コースごとの価格設定が可能
Udemyを使えば、講師や企業は提供する研修コースごとに価格を設定して講座販売できます。他の事業者が提供するオンライン学習コンテンツに設定された販売価格を参考にしながら、自分が販売したい学習コンテンツの価格を設定できます。Udemyは簡単にコースをアップし、価格を設定して販売を開始できる手軽さが魅力です。
研修コースの販売価格は、受講者が個人で気軽に購入できる価格帯から、高価値の専門的な研修コースまで幅広く設定可能です。当然、似た学習コンテンツを販売する数多くの事業者がいるでしょう。売れる価格を設定しなければなりませんが、その価値がユニークであれば強気の価格設定もできるでしょう。
オンライン学習講座の視聴者の制限が可能
Udemyには研修コース(講座)の購入者だけに動画を視聴させる仕組みが整っています。具体的には、ユーザー(受講者)はeラーニングコンテンツを受講するためにUdemyのアカウントを作成してログインが必要で、購入済のeラーニングコンテンツに対してアクセスが許可されます。これにより、受講者を厳密に制限することができ、オンライン学習講座コンテンツの不正視聴を防ぐことができます(LMSでは当たり前の機能ではあります)。
eラーニングに必要な基本機能が充実
Udemyには、オンライン学習講座(動画)の視聴だけでなく、確認テストやアンケートなど、LMSの基本的な機能の一部が揃っています。また、受講者は研修コースの評価を書いて共有でき、その評価は他の受講者がコースを選択する際の参考情報となります。評価の高い人気のオンライン学習講座は、多くのユーザに対しておすすめされることになり、より多くのユーザを獲得することが可能となります。また、講師はユーザからのフィードバックをもとに講座の内容を改善することができます。
多くの研修コースから選択可能
受講者は、世界中の講師から提供される数多くの研修コースの中から、自分に合ったものを自由に選択できます。たとえば、マーケティングなどのビジネススキル、プログラミング、AIなどのテクノロジー関連、自己啓発や趣味など、自己改善に役立つeラーニングの講座が数多く提供されています。
また、1つのコースを購入して受講すると、それに関連するeラーニングコースが自動的に表示され、ユーザの評価やコメントも見ることができるため、様々な観点からコースを選ぶことができます。
Udemyの課題
一方で、Udemyでオンライン学習講座販売ビジネスを実施する際には、以下の点に留意する必要があります。
共通利用のプラットフォームのため競合が多い
Udemyでは、多くの企業や講師が研修コースを提供しており、同じテーマの研修コンテンツが多数販売されています。そのため自身の提供した研修コースが埋もれてしまってユーザーの目に留まらず、購入してもらえない可能性があります。
例えば、「AI」というキーワードでコース検索をしてみると、検索結果は10,000件とだけ表示されて、全部でいくつのコースが該当するのかすら分かりません。このうち4桁・1,000件以上の評価がついているコースは20コース程度で、99.9%以上のコースは受講者がほぼ誰もいない状態です。
また、選択された研修コースの提供元が認識されないまま、「Udemyの研修コース」として捉えられてしまう恐れがあります。その場合、自社ブランドが受講者に伝わらず、学習講座の企画・販売者である自社の知名度向上につながらないということになります。
自社専用の販売ショップが作れないプラットフォームである
Udemyでは、研修コースを単体で販売することができますが、自社専用の販売ページを設けることはできません。自社のコンテンツが他社のライバル教材と並べて販売されます。そのため、企業としての統一されたブランドイメージが構築できず、自社の研修コースを際立たせることが難しくなる可能性があります。
例えるならば、Udemyでの販売は、「出品」であって「出店」ではないと言えます。
他社へのユーザの流出リスク
Udemyの特徴のひとつとして、受講者に対しておすすめの研修コースを提示する機能があります。これは、自社で提供したeラーニングコースを受講してくれた利用者に対して、他社のeラーニングコースがレコメンドされてしまうことでもあり、せっかく獲得した受講者が他社に流れていってしまうのを指をくわえて見ているしかない状況と言えます。
価格設定の自由度の制限
Udemyでは、プラットフォームの方針に基づき定期的にセールが行われます。販売価格が自動的に変更され、想定外に低価格で研修コースが販売されてしまう場合があります。また、特に低価格の競合研修コースがある場合は、価格競争に巻き込まれ、自社研修コースの利益率が低下するリスクがあります。さらに、提供研修コースが「安価な商品」として認識されてしまうことで、研修コースの価値や自社のブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性もあります。
UdemyとLMSの違い
動画視聴 | (テスト・アンケート等) 学習機能 | 受講状況 確認 | 決済機能 | ショップ 自社専用 | システム 利用費用 | ||
(Udemy) | eラーニング販売サイト|||||||
一般的な社内用LMS | |||||||
(Qualif) | eラーニング販売LMS
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学習教材販売機能を持ったLMSの強み
「学習教材販売機能を持ったLMS」は、教育やトレーニングに特化したシステムで、かつ、教材販売機能を備えています。オンライン学習講座の販売に特化して作られたLMSは、Udemyと比較して以下の強みがあります。
自社専用の販売ショップ(販売サイト)の開設が可能
Udemyのように、他社の様々なコース提供の動画と並べて表示されるのではなく、自社専用の販売ショップ(販売サイト)を開設することができ、視聴者をしっかりと囲い込むことができます。また、ショップのデザインもカスタマイズ可能なため、自社のブランドイメージを損なうことなくビジネスを展開できます。
例えて言えば、Udemyでのeラーニングコースの販売は、同業者の商品が並ぶセレクトショップに出品するイメージですが、「学習教材販売機能を持ったLMS」では自社専用の路面店を持つことができるということができです。
プラットフォーム上で受講状況の管理が可能
「学習教材販売機能を持ったLMS」では、受講者はID・パスワードでシステムにログインし、自身が購入した学習教材だけを受講します。管理者は誰がどの教材を購入したか、その教材の受講状況はどうかを、管理画面で細かく確認することができます。
また、確認テストやアンケートの機能もあるため、学習の理解度を確認したり、受講者からの声を受け取ることも可能で、これらの情報を元にして学習教材の改善に役立てることができます。
セキュアな配信環境
自社サイト専用のURLが発行され、個々のユーザはIDとパスワードによる認証を経て受講するため、特定の受講者にのみ学習講座を視聴させることができます。
また、受講者の情報が記録されるデータベースは暗号化されているため、データ漏洩のリスクは低く押さえられています。学習教材の動画もストリーミング配信されているので、データが盗まれるリスクが低く、安心してeラーニングビジネスを展開できます。
柔軟な価格設定と決済システム
「学習教材販売機能を持ったLMS」では価格設定の自由度が高く、個々のコンテンツに価格を付けて販売したり、複数のコンテンツをパックにして販売したり、というようなことが自由にできます。また、Udemyで定期的に行われるセールで勝手に販売価格を変更されてしまうこともありません。
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Udemyと「学習教材販売機能を持ったLMS」の使い分け
Udemyと「学習教材販売機能を持ったLMS」は、それぞれ適した用途があり、機能を比較・理解し、うまく使い分けることで自社のeラーニングビジネスの拡大や新規ビジネスとしてのeラーニング立ち上げにつなげることができます。
Udemyが適したオンライン学習講座販売の例
- 市場調査やテストマーケティングを目的とする場合
- 幅広い受講者層に向けて研修コースを提供したい場合
- 初期費用を抑えて研修コースを販売したい場合
「学習教材販売機能を持ったLMS」が適したオンライン学習講座販売の例
- 自社ブランドを重視して販売したい、自社の販売ストアにしたい場合
- 特定の受講者層(社員やパートナー企業)に限定してコンテンツを提供したい場合
- 学習成果の詳細な管理やレポートが必要な場合
UdemyとLMSの使い分け
Udemyを活用して、テストマーケティングとしてコンテンツを個別に販売し、顧客のニーズや売れ筋を確認することができます。新規ビジネスとして収益が見込める段階になれば、「学習教材販売機能を持ったLMS」を導入して自社専用の販売ショップを立ち上げることで、ブランディングや販売戦略を強化することが可能です。
オンライン学習講座販売プラットフォームは目的で選ぶ
UdemyとLMSは、それぞれ異なる特徴と用途を持つツールです。Udemyは、広範な受講者にリーチするためのプラットフォームとして優れていますが、自社ブランドの構築や詳細な学習管理を行いたい場合には、クオリフ(Qualif(クオリフ) | オンライン学習研修コース販売プラットフォーム)に代表される「学習講座販売に特化したLMS」が適しています。
企業や教育機関は、自社の目的やニーズに応じて適切なプラットフォームを選択することが重要です。
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