eラーニングはPCだけでなく、スマホやタブレットで受講できる時代になりました。「タイパ」を意識する若年層に限らず、すき間を学習時間にあて、少しずつ学んでいくスタイルも増えてきました。受講者はPC以外のデバイスでも視聴できるLMS(学習管理システム)を導入して、教材コンテンツを配信し、インターネット上でオンライン講座を受講します。
従来のPC版に比べ、スマートフォンでのeラーニングはメリットが多く、資格試験の学習に活用する社会人や従業員の研修に導入する企業が増えています。以下に、パソコンおよびスマートフォンを使ったeラーニングの特徴をまとめました。
項目 | PC | スマートフォン |
場所 | オフィス、自宅などeラーニング対応の端末がある場所(じっくり) | 電車や自宅など何処でも(手軽さ、タイパ重視) |
視聴時間と活用教材 | ある程度まとまった時間をとり、時間をかけて視聴が必要な教材を活用 | 移動中や隙間時間を使い短時間で視聴を進められる教材を活用 |
操作 | キーボード、マウスを使い、PCを操作 | タッチパネルを使い、普段使い慣れているスマートフォンを操作 |
画面 | 大きい | 小さい |
セキュリティ | 社用PCやスマートフォンを会社で管理 | 個人端末は管理が難しい |
教材 | まとまった時間の視聴 | 短時間 |
本記事では、スマートフォンを用いたeラーニング学習のメリットや注意点、スマートフォン対応eラーニングの選び方について、わかりやすく解説します。
スマートフォンを用いたeラーニング学習が増加した背景
総務省の調査によると、個人のスマートフォンの保有割合は増加の一途をたどっており、2023年には80%に迫っています。モバイルラーニング(スマホ学習)は、移動や待ち時間を学習時間に変換できる実務的な手法です。企業研修のモバイル前提設計はもはや必須といってよいでしょう。

引用元:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/240607_1.pdf
eラーニング自体がインターネットの普及に伴って急速に成長してきましたが、スマートフォンはその利便性や可搬性によって、オンライン学習とはとても相性が良く、スマートフォンの進化はeラーニングの発展をさらに後押ししたと言えるでしょう。
スマートフォンを用いたeラーニング学習のメリット
①スマートフォンの機能を活用(導入コストや手間の削減)
従業員が既に持っているスマートフォンやタブレットを利用してeラーニングを受講することができるため、導入に伴うコストや手間の削減につながります。
また、スマートフォンやタブレットに備わっているリマインダーやアラートといった機能を設定することで学習の促進や継続につながり、計画的な学習が実現します。
受講者は普段から、タップやスクロールといった操作に慣れており、ストレスなく取り組めます。PCを起動してeラーニングを立ち上げるよりスマートフォンにログインする方が、心理的にもハードルが低いとされています。
②時間や場所を選ばない
手軽にeラーニングコンテンツにアクセスできるため、移動時間や待ち時間を有効に使い、受講することができます。スマートフォンさえあれば、受講者の好きな時間に好きな場所で学習を進めることができ、学習を継続するモチベーションを維持できます。
5分から10分程度の短い時間で学習を行う「マイクロラーニング」の定着にもつながります。
なお、マイクロラーニングでは短時間で特定の知識やスキルを効率的に学べるため、スキマ時間を使った学習に適しています。「軽く」、「ちょこちょこ」取り込むことで学習のハードルを下げられ、結果的に学習意欲の向上も期待できます。また、短時間で少ないトピックに取り組むため、定着も早いとされています。
③すぐに確認できる
作業手順などのマニュアルをeラーニングで学習した後、現場で再確認したい場合があります。例えば訪問先でのビジネスマナーなど、直前に不安を覚えたとしても、スマートフォンで学習したコンテンツであれば、すぐに該当箇所にアクセスし、目を通すことができます。ポイントをその場で繰り返し見直すことができますし、わからない部分をそのまま放置してしまう危険性が少なくなります。現場到着前に手順動画→3問確認をスマホで完了!といったシーンで効果を発揮します。
④継続性
例えば、5–10分のマイクロラーニングとプッシュ通知で習慣化ができます。前述したように短時間・単一トピックが想起と定着を高めやすいことが分かっています。
スマートフォンを用いたeラーニング学習の注意点
①セキュリティ
受講者個人のスマートフォンはセキュリティ対策が不十分な場合があります。ウィルス対策ソフトのインストールやOSのアップデートなど、受講者の協力のもと、対策を講じることが求められます。
また、スマートフォンの盗難や紛失によって学習データや個人情報、企業の内部情報が流出する危険もあります。セキュリティ対策に関する教育や利用ルールの周知などを徹底することが必要です。
②表示画面
スマートフォンの画面は小さく、PCのように複数の画面を同時に表示することが難しいです。またPC用にデザインされた形式がそのまま表示されると、テキストが読みづらい、グラフや表が見にくいといった問題が発生し、学習効果が低下する懸念があります。導入するeラーニングがスマートフォンでどのように見えるのか、あらかじめ確認しておきましょう。
スマートフォン用のコンテンツの作成者はデザインを工夫し、受講者はフォントサイズの調節やズーム機能の活用などによって、負担を減らしていきましょう。WCAG 2.2の2.5.8 Target Size(24×24CSS px)などを基準にUIを設計し、誤タップや可読性低下を防止するといった対策が効果的です。
③集中力の低下
手軽に利用できるメリットは、一方で他のサイトやSNSへのアクセスが容易であるというデメリットでもあります。集中力が保ちづらく、モチベーションの低下につながりかねません。飽きさせないためのゲーム性を導入する、短時間で視聴できるマイクロラーニングを活用する、といった工夫が必要です。
④受講者ごとの環境の違い
受講者のスマートフォンが、eラーニング非対応のOSの場合があります。また、システムによっては、スマートフォンの機種やバージョンによって、正常に動作しないこともあります。個人の端末でeラーニングがきちんと作動するかどうか、事前に確認が必要です。さらに、動画形式のeラーニングを受講するときは、容量の超過やWi-Fiトラブルに陥る可能性もあります。受講者各人のインターネット環境にも配慮が求められます。
スマートフォン対応eラーニングの選び方
eラーニングをスマートフォンで受講するためには、スマートフォンに対応したeラーニングシステム(LMS:Learning Management System:学習管理システム)の導入が必要です。以下の点に注意して、LMSを選びましょう。
LMSについて知りたい方はこちら!
LMSとは ~学習管理システムの基本から応用まで、機能と活用、これからを知る~ | Qualif eラーニングラボ
①コンテンツの種類
学習コンテンツを提供するタイプのeラーニングを選ぶ場合は、スマートフォン対応のコンテンツになっているかどうかと、自社の求める教育内容に適しているかどうかを見極めましょう。内容だけでなく、レベルや更新頻度などもチェックすると良いでしょう。
②教材作成機能の有無
コンテンツを独自に作成する場合には、作成からアップロードまでの手順を確認しましょう。自社の資料のコンテンツ化が容易であるLMSを選べば、最新の内容を適宜反映し、受講者に提供することができます。
③受講機能と管理機能
受講者にとっては、直感的に操作できるものになっているかどうかが重要です。配信ページのわかりやすさや学習履歴の確認のしやすさなど、受講者にとって使いやすいeラーニングであれば、学習習慣の定着につながります。
管理者にとっては、進捗確認機能があるかどうかがポイントになります。受講者の進捗状況に応じて、受講促進の通知やメールを送るなどきめ細かく対応すれば、学習効果の向上が見込めます。
さらにテストやアンケート機能を搭載するものであれば、習熟度を確認でき、適切なフォローアップを図ることができます。
④セキュリティ
社外で受講するケースを想定して、セキュリティ対策を万全にする必要があります。導入するLMSのセキュリティ対策が整っているかどうかを確認しましょう。
参考記事はこちら!
「過去問だけでは限界! 資格試験・検定試験実施団体がeラーニングを提供すべき3つの理由」 ~Z世代にとって勉強はスマホで行うものに~ | Qualif eラーニングラボ
PWA? LRS?モバイルラーニング視点のLMS選定チェック項目
スマートフォンを使ったモバイルラーニングを可能にするための、LMSの選定チェック項目例です。これをすべて実現する必要はないかもしれません。自社の要件を踏まえながら検討してはいかがでしょうか。
- レスポンシブ/モバイルUI
- WCAG 2.2 AAに準拠 or 同等要件(タップ領域/フォーカス)
- 字幕・台本・速度変更・ダウンロード可否制御
- PWA/オフライン学習(Service Worker実装)
- 動画ABR(可変ビットレート)/低帯域モード
- プッシュ通知(リマインド)
- SCORM/xAPI/cmi5対応とLRS連携 :標準仕様対応とデータベース連携
- クイズ分岐・マイクロテスト作成
- スマホ撮影→提出(実技/現場レポート)
- SSO(SAML/OIDC):シングルサインオンの仕組みと実現プロトコル
- BYOD対策:MDM/MAM連携・MFA・ワイプ手順
- 役割別権限と監査ログ
- 受講促進の自動通知(条件配信)
- 学習×業務KPIのレポート(xAPI活用)
- コンテンツ作成(スマホ最適テンプレ)
- 問い合わせ/チャットサポート
- オフライン完了→オンライン同期の衝突解決
- DRM/リンク共有制御:著作権保護、コンテンツ保護の仕組み
- API/CSVで人事システム連携
- SLA/セキュリティ証跡(ISMS等)
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企業にとって人材は、経営資源の一つであり大切な財産です。企業は人材育成によってその価値を引き出し、利益の最大化を図ることが求められています。
研修は、そのために欠かせない施策です。営業研修やマーケティング研修といった業務に直結する内容はもちろん、マネジメントやコーチングといった管理職に求められるテーマ、メンタルヘルスやロジカルシンキングといった心の柔軟性を養うものまで、社会人の人生の様々な場面で適切な研修を提供することは企業の大きな責任と言えるでしょう。
研修は、スマートフォンやタブレットとeラーニングを組み合わせることで、場所や時間の制約なく効率的に実施することができます。マルチデバイスに対応したLMSを導入し、スマートフォンやタブレットで、eラーニングを実施することを検討してみてはいかがでしょう。
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関連記事:「eラーニング教材を販売するためのLMSとは」~学習講座・学習コンテンツ販売・決済がポイント~
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LMSの選定方法(機能比較リスト付) ~機能比較で失敗しないために~ | Qualif eラーニングラボ
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「eラーニング教材を販売するためのLMSとは」~学習講座・学習コンテンツ販売・決済がポイント~ | Qualif eラーニングラボ
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