2025年6月24日、The Business Research Companyより最新の「学習管理システム（LMS）業界の戦略的予測：市場見通し2025–2034」学習管理システム(LMS)市場2025年-シェアと規模が発表されました。
このレポートによると、LMS市場は2029年までに年平均成長率18.10%という高水準で拡大すると予測されています。
eラーニングの普及、スマートフォンの浸透、働き方の変化、AI技術の進化—これらのトレンドとともに、LMS（Leaning Management System:学習管理システム）市場は大きく姿を変えようとしています。
世界的に見ても、LMSは「教育のデジタルインフラ」として急成長中です。特に企業研修の分野では、従来の集合研修に代わる手段として、LMSを中心とした教育体制が急速に広がっています。
本記事では、世界のLMS市場の急成長を支える注目トレンドなどを、下記レポートをもとに解説します。
※出典：学習管理システム(LMS)市場2025年-シェアと規模
LMS市場の急成長:2029年まで成長率（CAGR）18.10%予測
LMS(Learning Management System:学習管理システム）市場は、世界的に急成長しています。2024年の市場規模は約200億7,000万ドルと推定され、2025年には229億6,000万ドルに達する見込みで、年平均成長率(CAGR)は14.4%になると予測されています。
さらに2029年には446億8,000万ドルにまで拡大し、成長率（CAGR）は18.10%と非常に高いと当レポートでは予測されています。
また、この高い成長率が継続すると仮定すると、2034年には1,000億ドル超の市場になると予測されます。
引用元：学習管理システム(LMS)市場2025年-シェアと規模より弊社にて作成
LMSの急成長を支える注目トレンド
今後のLMSは、単なる「学習の管理システム」から、より深い学習体験を提供する戦略的なプラットフォームへと進化していくと予測されています。市場をけん引するトレンドは以下の通りです。
| トレンド | |||
| ① | 音声対応の検索とナビゲーション | ||
| ② | 音声で強化されたコンテンツ配信 | ||
| ③ | マルチモーダル学習体験 | ||
| ④ | 言語学習サポート | ||
| ⑤ | リアルタイム言語翻訳 | ||
| ⑥ | ポッドキャストスタイルの学習モジュール | ||
| ⑦ | 音声による適応学習 | ||
これらの要素は、特にZ世代やミレニアル世代の学習スタイルとも親和性が高く、企業の教育戦略にも欠かせない要素になりつつあります。
LMS選定時に避けて通れないモバイル（スマートフォン）対応
LMS市場が成長を続ける背景には、スマートフォンの普及が大きく影響しています。スマートフォンは、場所や時間を選ばず学べる利便性を提供し、学習への参加意欲を高めます。オフライン学習やマイクロラーニング、SNSとの連携など、モバイルならではの機能もLMSの価値を高めるものとなりました。さらに、プッシュ通知機能や進化した進捗管理、スモールスタートでの実現などは、多様なニーズに応える手段としても注目されています。スマートフォンの普及によって、LMSのスマートフォン対応は、避けて通れないものになりました。実際、2021年末時点で世界の67％にあたる53億人がモバイルサービスを利用しており、2025年までにさらに4億人が新たに加入する見込みです。スマートフォンに対応することで、そこに大きなLMSのマーケットが見込めるのです。
世界のLMS市場を変える注目トレンド：人工知能（AI）の活用
人工知能（AI）の導入は、LMS市場の大きな潮流となっています。AIは、学習者ごとに最適な教材をレコメンドしたり、進捗状況から理解度を分析したりと、より高度な学習体験を実現する技術として注目されています。
たとえば2023年6月、米国のシルガン大学は、忙しい社会人向けにAIを活用したオンライン学習システムを導入。受講者は、自宅や職場から3つの専門コースを自分のペースで学ぶことができ、効率的な知識習得を実現しています。
このように、AIの活用によりLMSは「一律の研修」から「個別最適化された学び」へと進化しており、企業や教育機関の人材育成のあり方を根本から変えつつあります。
注目すべきは、LMSが単なる「学習の管理ツール」から、企業や教育機関の「戦略的な人材育成基盤」へと進化している点です。たとえば、クラウド型LMSは拡張性や即応性の高さから中小企業にも広がり、AIとの連携でパーソナライズ学習が可能になるなど、用途も深化しつつあります。
もはやLMSは、「導入するかどうか」ではなく、「何を選び、どう活かすか」が問われるフェーズに入ったと言えるでしょう。
このように、LMS市場の分類を知ることは、単なる知識ではなく、競争優位を築くヒントでもあります。自社や組織の課題に最もフィットするLMSを選ぶためにも、こうした多角的な市場構造を理解しておくことが、今後ますます重要になってきそうです。
主なプレーヤーと地域別の動向
世界市場では、以下の企業が主要プレーヤーとして存在感を示しています：
McGraw-Hill Global Education Holdings LLC、Desire2Learn Inc. SAP SE、Docebo Inc.、Absorb Software Inc.、Blackboard Inc.、Cornerstone OnDemand Inc.、Oracle Corporationなど
また、地域別では、北米が最大市場ですが、アジア太平洋地域（APAC）が最も成長率が高く、日本・インド・中国が注目されています。
多言語対応やスマートフォン最適化の浸透で、グローバル化がLMS普及を後押ししています。
Qualif（クオリフ）の強みと未来 ～なぜいま新しいLMSなのか
今回のレポートは、LMSが単なる研修管理ツールではなく、人材育成や組織成長を支える「戦略的インフラ」であることを再認識させる内容でした。
2025年以降、教育現場・企業研修・資格試験などあらゆる分野で、LMSをどう活用するかが企業の競争優位のカギとなります。
「まだ導入していない」「使いこなせていない」と感じている方は、今後のLMSの成長トレンドを見据えて、自社にとって最適なLMSの活用を考えてみてはいかがでしょうか。
実は、弊社で新しいeラーニングプラットフォーム「クオリフ」Qualif（クオリフ） | オンライン学習講座販売プラットフォームの開発を進めているのは、LMSの進化が止まってしまっているという現状を打破したいと考えているからです。
20年以上にわたってeラーニングに取り組んできたクオークのメンバーの知見を活かして、以下のような特徴を持つLMSを開発しています。
- 社員の学習を「管理」するという発想の逆を行く
- 学ぶべき知は現場にこそある
- 学習の成果が出る
- LMS上での作業を徹底的に自動化する
【LMSを比較選定するための機能リスト(2025年版)】はこちらから!
eラーニングはこの四半世紀である程度の普及を果たしましたが、この先もユーザを獲得し利用し続けてもらうには、eラーニング自体が進化していく必要があります。開発努力を怠るLMSベンダーやコンテンツベンダーは、やがて確実に淘汰されていくでしょう。開発の進捗などは随時公開していきます。どうぞご期待ください。
2030年に向けたLMS市場についてはこちらもご覧ください。
2030年に向けLMS市場は急成長～データ・AI活用と中小企業への広がり～【海外ニュース】 – Qualif eラーニングラボ
2025年4月22日に、矢野経済研究所より最新の「国内eラーニング市場調査結果（2025年版）」が発表されました。企業研修や資格試験等のeラーニングに携わる方にとっては見逃せない内容です。
【2025年最新】国内eラーニング市場はBtoBが主導へ 矢野経済研究所レポートから未来予測を読み解く – Qualif eラーニングラボ
