研修会社や資格試験を実施する企業などにおいて、動画を活用した教育やトレーニングはますます重要性を増しており、eラーニング教材を販売するビジネスを展開するには、プラットフォーム選びは成功の鍵を握る重要な要素です。YouTubeのような広く知られたプラットフォームと学習教材販売機能を持ったLMS(Learning Management System:学習管理システム)のどちらを選ぶべきか、比較検討で悩む場面も多いのではないでしょうか。
本記事では、YouTubeとLMSの特徴を比較し、適切な選択をするためのヒントをご紹介します。
YouTubeの強み
YouTubeは世界最大級の動画配信プラットフォームであり、以下に挙げるような強みがあります。
圧倒的な知名度
YouTubeは知名度が非常に高く、「知らない人はいない」と言っても過言ではありません。多くのユーザが日常的に利用しており、視聴者を集めやすい環境が整っています。
広い意味での収益化が可能
YouTubeでは、広告収入やスーパーチャットなどの機能を通じて収益を得ることが可能で、広い意味ではコンテンツの提供で対価を得られるプラットフォームと呼ぶことができます。一定数以上の視聴者がいることが前提ではありますが、収益を確保できる可能性がある点は大きな魅力です。
無料で利用可能
視聴者側もコンテンツ提供者側も基本的に無料で利用できます。動画を何本アップしても費用が掛かることはありません。この点はコストを抑えたいコンテンツ提供者にとっては大きなメリットです。
豊富な動画再生機能
動画配信プラットフォームのデファクトスタンダードというべきサービスだけあり、動画を再生するプレイヤーの機能は十分です。動画の再生、一時停止、前回の続きからの再生、再生速度の変更、多言語字幕機能、チャプター機能など、視聴者の利便性を高める機能が充実しています。
YouTubeの弱み
一方で、YouTubeをコンテンツ販売プラットフォームとして利用しようと考えた場合には、LMS(学習管理システム)と比較して以下のような弱点がでてきます。
アクセスが制限されるリスク
企業によっては、安全性等の観点からYouTubeへのアクセスを禁止している場合があります。このような企業に所属するユーザは、会社のパソコンからはYouTubeを利用することが難しく、業務としてYoutubeを使ったeラーニングを受講することができません。そもそもeラーニングプラットドームの比較検討から外れるケースがあるのはこのためです。
視聴者を限定することが難しい
YouTubeは基本的にオープンなプラットフォームであり、Youtube上の動画には誰でもアクセス可能なため、視聴者を限定することが困難です。
限定配信機能はありますが、IDやパスワード等で認証する形式にはなっておらず、URLが分かれば誰でも視聴が可能となってしまいます。この点で、YouTubeは視聴者を厳密には制限できないという課題を抱えています。
動画1本ごとに価格を設定することはできない
YouTubeでは、個々の動画に価格を設定して販売することはできません。視聴者が増えてくれば広告収入が得られる可能性があるのは前述の通りですが、コンテンツの提供者が短期的に収益をあげたいと考える場合には、YouTubeはオンライン講座の販売には、LMSと比較しても、適していないと言えます。
競合他社の動画や不適切な動画に誘導される
視聴履歴や検索キーワードに基づいておすすめ動画を表示するブラウジング機能や、関連動画を紹介する仕組みを持つことから、YouTubeの視聴者は競合他社の動画に誘導されてしまう恐れがあります。動画の提供者に不利益となるだけでなく、YouTube上のコンテンツで学ぶ受講者にとって、体系的な視聴の妨げにもなり得ます。業務に不適切な動画に誘導される可能性もあります。
視聴者のデータを把握しきれない
YouTubeでは、誰がどの動画を視聴したのかを完全に把握することができません。そのため、受講が完了したかどうかは視聴者の自己申告に頼る必要があります。また、テストやアンケートの配信・回収機能もないため、学習成果の確認ができず、レコメンドやフォローアップといった個々の視聴者に対するきめ細かなコミュニケーションが困難です。
YouTubeとLMSの違い【比較表】
動画視聴 | 学習機能 (テスト・アンケート等) | 受講状況 確認 | 決済機能 | 自社専用 ショップ | システム 利用費用 | ||
(YouTube) | 動画配信サイト|||||||
一般的な社内用LMS | |||||||
(Qualif) | eラーニング販売LMS
学習教材販売機能を持ったLMSの強み
学習教材販売機能を持ったLMSは、教育やトレーニングに特化したシステムで、かつ、教材販売機能を持ったシステムです。YouTubeと比較すると、以下のような強みがあります。
動画単位での販売が可能
学習教材販売用LMSでは、動画1本ごとに価格を設定して販売することができます。購入にはクレジットカードやコンビニ決済、携帯電話のキャリア決済などを利用でき、購入者だけが教材を視聴できます。
自社専用の販売ショップ(販売サイト)の開設が可能
Youtubeのように、様々な配信者の動画と並べて表示される(競合と比較されてしまう)のではなく、自社専用の販売ショップ(販売サイト)を開設することができます。視聴者をしっかりと囲い込むことができます。
また、ショップのデザインもカスタマイズ可能なため、自社のブランドイメージを損なうことなくビジネスを展開できます。
受講状況の管理が可能
LMSでは、受講者はID・パスワードでシステムにログインし、自身が購入した学習教材だけを受講します。管理者は誰がどの教材を購入したか、その教材の受講状況はどうかを、管理画面で細かく確認することができます。
また、確認テストやアンケートの機能もあるため、学習の理解度を確認したり、受講者からの声を受け取ることも可能で、これらの情報を元にして学習教材の改善に役立てることができます。
セキュアな配信環境
自社サイト専用のURLが発行され、個々のユーザはIDとパスワードによる認証を経て受講を行うため、特定の受講者にのみ動画を視聴させることができます。
また、受講者の情報が記録されるデータベースは暗号化されているためデータ漏洩のリスクは低く、学習教材の動画もストリーミング配信されデータが盗まれるリスクが低いため、安心してeラーニングビジネスを展開いただけます。
LMS(Learning Management System:学習管理システム)とは~基本から応用まで、その機能と活用を知る~
本記事でLMSの基本機能、応用機能について理解することで、LMSをより使いこなすことができます。
YouTubeとLMSを使い分けるポイント
プレビュー動画の拡散にYouTubeを活用し、LMSに誘導する
YouTubeの強みは何と言っても広範囲にわたる拡散力を持っていることです。そのため、オンライン学習講座販売のマーケティング活動として、プレビュー動画を広く見てもらうにはYoutubeが最適と言えます。無料で広く拡散することで興味を引き、見込み顧客を増やすことにつながります。
そして、実際に学習講座を販売し、受講してもらうには、LMSを使うのが良いでしょう。販売機能があり、eラーニングビジネスの一番のキモである「受講履歴データ」を取得・管理できることがその理由です。
まとめ
YouTubeとLMSはそれぞれに強みを持っています。ビジネスの目的や状況に応じて、両者を適切に比較して使い分けることが成功の鍵となります。広報やマーケティングにはYouTubeを、eラーニングの実施にはLMSを活用することで、最大の効果を得ることができるでしょう。
自社の今後のビジネス展開における最適なプラットフォーム選びの参考にしてください。
You Tubeも含めて5つのシステムについて、詳しくはこちら!
「eラーニングコンテンツの販売に使えるシステムとその使い分けとは?」
本記事では、「eラーニングコンテンツの販売に使えるシステム」を5つのタイプに分類し、解説します。